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  • 小塚 泰彦

夏目漱石のI love you

最終更新: 2018年7月8日

「夏目漱石が"I love you"を"月が綺麗ですね"と訳した」という逸話は有名です。


この話の真偽は諸説あるようですが、夏目漱石は生徒に「月がとっても青いなぁ」と言ったという検証がされています。(「月が綺麗ですね」検証


いずれにしても「愛しています」や「我、汝を愛す」などとは訳さなかったことは確かでしょう。


漱石が英語の授業で生徒に向かって思いつきで語ったにしては優れたトランスクリエーションの事例であると言えます。


漱石の逸話に触発されたかどうかは不明ですが、1955年に発表されヒットした歌謡曲「月がとっても青いから」ではこのように歌われています。


月がとっても青いから
遠廻りして帰ろう
(中略)
二人っきりで サ、帰ろう

「遠廻りして」「二人っきりで」「帰ろう」と呼びかけるのは、愛情表現に他ならないでしょう。ここでも「月」が表現されています。


夜月を眺める情緒が恋慕に似ているということが日本的なのかと思っていたら、そうでもないようです。


ジャズのスタンダードナンバーで"Fly me to the moon"という名曲があります。あえて直訳で言うと「私を月に連れてって」。


この曲の歌詞を見ると一目瞭然ですが、"Fly me to the moon"は"I love you"の言い換えです。さらにこの曲名"Fly me to the moon"は通称で、原題は"In other words"で「言いかえるなら」です。


Fly me to the moon
Let me play among the stars
Let me see what spring is like

On a, Jupiter and Mars
(中略)
In other words, I love you

「私を月に連れてって」と「月がとっても青いなぁ」。


「私を月に連れてって」は視点が女性でしょうし、「月がとっても青いなぁ」の話者はきっと男性でしょう。また「連れていって欲しい」という月との距離感と「青いなぁ」という月との距離感の違いは英語圏と日本語圏の差異によるものなのかはわかりませんが、いずれにしても愛を伝えるトランスクリエーションに「月」が共通している点がとても興味深いです。


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#トランスクリエーション #月が綺麗ですね #Iloveyou #Flymetothemoon



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