- 小塚 泰彦
トランスクリエーションの最も分かりやすい話
最終更新: 2018年7月8日
NYで明太子を爆発的に売った男がいます。
マンハッタンにある博多料理店HAKATA TONTONのオーナーである日本人ヒミ・オカジマさんは明太子を”Cod roe(タラの卵)”と表記して販売していました。
しかし、ニューヨーカーたちは「タラの卵」と言われても、食べる気がしません。
売れない日々が続く中、オカジマさんは明太子の英語名を変えてみることにしました。
HAKATA Spicy Caviar
「博多スパイシーキャビア」です。
このネーミングにした途端、ニューヨーカーの心を掴み、NYで明太子が爆発的に売れたのです。
キャビアという単語は高級なチョウザメに限らず、魚卵の総称としても使われていることから明太子をキャビアと言うことは決して誇張や偽りとは言えません。
これは、トランスクリエーションの最も分かりやすい話の一つです。
オカジマ氏は明太子とニューヨーカーの間に「新しい共感」を生み出すことができた。
この「新しい共感」を生み出すことが、トランスクリエーションの特質です。
味を変えるのではなく、名前を変える。それはつまり、物理的なモノではなく情報を変えるということです。情報には形も匂いも質量もありません。だから素早く変えることができ、素早く届かせることができる。
トランスクリエーションはこれからの時代に非常に必要とされる技法であると私は考えています。
#トランスクリエーション #トランスレーション #コピーライティング
